在日韓国人が遺言をしようとする場合、どの国の法が準拠法(その事項に適用される法律のことを、「準拠法」と言います。)となるのでしょうか?
「法の適用に関する通則法」(以下では、「通則法」といいます。)は、その37条1項において、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。」と規定しています。つまり、「遺言の成立及び効力」については、遺言をしようとする者が韓国籍であるならば、韓国法が準拠法となりますし、遺言をしようとする者が、日本国籍であるならば、日本法が準拠法となるということです。
それでは、「遺言の成立及び効力」とは何を意味するのでしょうか?例えば、以下のような事項がそれに当たります。
① | 何歳になれば遺言することができるのか(これを、「遺言能力」と言います) |
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② | 一度した遺言を撤回することができるのか |
③ | 遺言したとしてその効力はいつから発生するのか |
これに対して、遺言で婚外子を認知した場合、その認知が認められるかということは、「遺言の成立及び効力」の問題ではありません。これは、認知の問題と考えられており、認知については、通則法29条がその準拠法を規定しています(詳しくは、「在日韓国人の認知」の項目を参照)。
また、遺言で遺贈をすることができるのかという問題についても、同じく、「遺言の成立及び効力」の問題であるとは考えられていません。これは、相続の問題として、通則法36条が準拠法を規定しています(詳しくは、「在日韓国人の相続問題」の項目を参照)。