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社内のセクハラ問題対策

社内のセクハラ問題対策

第1 セクシャル・ハラスメントとは

 セクハラ(セクシャル・ハラスメント)とは、相手方が望んでいない性的な言動を行う場合のうち、一般的には、このような言動が雇用上の関係を利用してなされる場合を言います。

 よく似た言葉に、パワハラ(パワー・ハラスメント)というものもありますが、セクハラはパワハラの一種であり、パワハラのうち、特に性的な部分に着目したものをセクハラと言います。

 ここで上記の定義からもわかるように、一番の基準となるのは、相手方がその言動を望んでいるかいないかという点です。

第2 セクハラの実態及び法整備状況

 平成28年度の全国の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)によりますと、平成28年度の相談件数で最も多い相談は、セクシャルハラスメントに関するもので、その数は7,526件となっています(次いで多いのが、婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関するもので、その数は5,933件です)。

 このような状況において、企業側としても、セクハラをする側とセクハラをされる側のみの問題であって、企業は関知しないというわけにはいかなくなっています。このような状況を受けて、男女雇用機会均等法11条1項においては、「事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とされています。

第3 セクハラ防止措置

 つまり、企業側は、セクハラ被害者の相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の「雇用管理上必要な措置」を講じなければならないとされているのです。
 これを受けて、厚生労働省によって、企業側が講じるべき措置についてのガイドライン(『事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針』)が策定されています。

 それによりますと、①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、③職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応、④①から③までの措置と併せて講ずべき措置が、講ずべき措置として挙げられています。
 企業側としては、このガイドラインをもとにセクハラ問題に関するシステム構築を喫緊に始めなければなりません。

第4 セクハラによるコスト

 企業側が考慮しなければならないコストとしては、現実にセクハラ問題が起こった場合に、被害者が企業側を訴えることによる損害賠償責任でしょう。
 例えば、セクハラ加害者によるセクハラ行為を、民事上の不法行為と捉えて、その加害者を使用する者としての使用者責任を問われるという可能性が考えられます。

 また、会社自身が、セクハラ防止義務を怠ったとして、直接に不法行為責任ないし雇用契約上の債務不履行責任として、損害賠償請求される可能性も考えられます。セクハラ防止義務とは、上記の措置を講ずることを含めて、セクハラを予防し、仮に起こっても被害の拡大を回避し、適切に対処するといった義務を言います。

 さらに、実際に問題が生じた場合、企業側から、機会均等調停会議による調停を申し立てるという方策が用意されていることも記憶しておくべきでしょう。

 以上の通り、セクハラ問題については、男女雇用機会均等法上講じるべき措置を含めたセクハラ防止システム等、企業側が構築しなければならないシステムが多く、また、実際に問題が生じた場合には、損害賠償請求の被告側になる可能性等も考えられます。

企業法務につきましては、以下の項目もご参照ください。

  • 契約書の作成・リーガルチェック
  • 秘密保持契約に関する契約書作成・リーガルチェック
  • 有期労働契約の無期転換ルール
  • 中小企業の事業承継・相続対策
  • 取締役の解任等に関するアドバイス
  • 社内のパワハラ問題対策


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