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第3 遺言能力

第3 遺言能力

 遺言能力というのは、その名の通り、遺言が効力を発生するために必要な能力のことを言います。

 日本の民法961条によりますと、「15歳に達した者は、遺言をすることができる。」と規定されていますので、未成年であっても、原則として遺言能力があるということになります。

 これに対して、韓国の民法によりますと、17歳に達した者が遺言をすることができると規定されています(なお、日本法によりますと、成年とは、20歳以上の者を言いますが、韓国法によりますと、成年というのは、19歳以上の者を言いますので、この点でも注意が必要です)。

 このように、遺言能力については、韓国法と日本法で違いがありますが、それでは、どちらの法律が適用されるのでしょうか?

 法の適用に関する通則法37条1項によりますと、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。」とされていますところ、遺言能力というのは、遺言が効力を発生するために必要な能力のことを言いますから、これは、「遺言の成立及び効力」の問題ということができます。つまり、遺言能力には、その成立の当時における遺言者の本国法が適用されるということになります。

 たとえば、遺言をしようとする者が16歳であった場合、その者が遺言作成時に日本国籍であれば、15歳以上ということで、遺言は有効に成立するのに対して、その者が遺言作成時に韓国籍であれば、17歳未満ということで、遺言は無効となります。国籍を考える時点はあくまで遺言作成時ですので、遺言作成後から死亡する時までに帰化をして、韓国籍から日本国籍に、または、日本国籍から韓国籍に変わったとしても、遺言の有効無効は覆らないことに注意が必要です。

在日韓国人の遺言に関する問題については、以下の事項もご覧ください。

  • 第1 遺言の準拠法
  • 第2 遺言によって定めることができる事項
  • 第4 共同遺言


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