共同遺言というのは、2人以上の者が同一の証書で遺言をすることを言います。
典型的には、両親が子供たちに対して共同で遺言を作成する場合が想定できるでしょう。
この共同遺言については、日本法では禁止されていますが、韓国法では禁止されていません。そのため、どちらの法律が適用されるかによって、遺言の有効無効の結論が変わるということになりますので、その意味で日本法と韓国法の大きな違いの一つと言えるでしょう。
それでは、夫婦が共同遺言をした場合、どちらの法律が適用されるのでしょうか?
学説の多数説によりますと、これについては、共同遺言でなされた遺言の内容によって、準拠法が変わるとされています。
どういうことかと言いますと、たとえば、夫婦共同で、「両者の財産は全て孫に遺贈する。」といった内容の遺言を作成した場合、これは、遺贈を内容としたものですので、相続の準拠法によって処理すべきものとされます。相続の準拠法は、「被相続人の本国法による。」とされていますので、日本国籍なら日本法、韓国籍なら韓国法ということになります。
ここで、夫婦の一方が韓国籍、他方が日本国籍ということになりますと、非常に複雑な問題が発生してしまうということです。