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入管法情報【第2回 準永住許可対象者に対する許否決定/井上亨】

【入管法第22条について】

入管法第22条(永住許可)によると在留外国人に対して法務大臣が永住許可を与えるためには、

・素行が善良であること
・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

上の2つの条件が永住許可の絶対条件ですが、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子であるときは、 日本の国益に反しないと認めれば上記のすべての条件に該当しなくても、許可することが出来ると定めております。
すなわち、前号で述べた準永住許可対象者とそうでない者(非永住許可対象者)とは現行法令上でも許否基準が異なるのです。

【入管法第22条】

第1項 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

第2項 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要しない。
① 素行が善良であること。
② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

第3項 法務大臣は、前項の許可をする場合には、入国審査官に、当該許可に係る外国人に対し在留カードを交付させるものとする。この場合において、その許可は、当該在留カードの交付のあつた時に、その効力を生ずる。

【準永住許可対象者に対する許可決定の具体例】

準永住許可対象者の代表例である在留資格「日本人の配偶者等」を例に挙げて許可決定の在り方をを検討してみましょう。
まず、日本の国益に反しないと認められる者であることは当然として、素行善良条項は、申請者に自動車運転経歴がある場合において、駐車違反とかスピード違反程度の行政処分対象者などをいうことで、準永住対象者と非永住対象者が同様でありますが、 独立の生計・資産保有条項とは、申請人の配偶者が定年退職者で、年金たけの暮らしであっても生活保護対象者でなければ、良いのです。

非永住者に対する基準は次回述べます。

【活動内容の審査】

活動内容については厳格な審査がなされます。
そもそも、婚姻の効力とは日本国民法第752条で「夫婦は同居し、お互いに協力し扶助しなければならない」と定めてあります。
ここで、夫婦同居とは単に夫婦が起居を共にすることだけでは足りず、夫又は妻として共同生活を営むことを指します。
したがって、一方が同居しないときは他方が同居を請求することができます。
また、夫婦間の協力扶助義務とは自己(本人)と同じ生活レベルを相手(配偶者)も維持できるようにすることだといわれております。
そして、扶養料の金額は、夫婦双方の収入、生活費、資産その他諸般の事情を総合的に判断し定めるべきであるとする考え方が、一般的です。
以上のようなことから、偽装結婚により偶々在留資格「日本人の配偶者等」を得ている者である場合、準永住許可対象者が比較的容易に永住許可されるといえども、それは形式的な許可対象者に過ぎず実質的には夫婦としての活動実績が存在しないのですから、審査の結果永住許可申請は当然に不許可になります。 具体的な偽装結婚事実が分かれば、退去強制の対象にもなります。
したがって、あなたが準永住許可対象者である場合は、永住許可申請に際してその活動実態を詳しく述べる必要があります。これが重要です。

【再申請】

裁判所の判決は、既判力と言って一旦判決として確定すると改めて争うことはできませんが、行政手続きにおいては改めて申請することが許されます。

ただし、前回と同じ内容の申請では意味がありません。新たに重要な証拠を添えて再申請して下さい。

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