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日韓をめぐる家族法(婚姻・離婚・親子・親権・相続)法律相談 【在日韓国人夫婦の離婚の準拠法について・韓国法相続親族8】

※注意事項 下記の法律相談を作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記法律相談を利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。

A:相談者・在日韓国人

B:弁護士

A:私は在日韓国人です。20年前に同じ在日韓国人の夫と結婚して、現在子供が3人います。夫婦ともに国籍は韓国です。2,3年前から夫婦仲が悪くなり、最近は夫から暴力を振るわれるような状態です。離婚を考えているのですが、日本に住んでいる私たちにも韓国の法律が離婚の際に適用されるのでしょうか。

B弁:(1)日本や韓国では、離婚の方法として、協議離婚、調停離婚、裁判離婚という3種類のものが認められています。その内容は、協議離婚は基本的に裁判所の手続きを利用せずに当事者だけで行う離婚で、調停離婚と裁判離婚は裁判所の手続に基づいて行う離婚です。ただし、韓国の場合は協議離婚の場合も「家庭法院における確認」という手続が必要なので、全く裁判所の手続きを必要としないということではありません。

在日韓国人夫婦の場合、2004年9月20日より前には日本の役所に適式な協議離婚届を出せばそれが受理され、特に問題はありませんでしたが、2004年9月20日以降、韓国の戸籍実務が「日本の方式により在日韓国人同士の夫婦が協議離婚した場合に、従来その離婚届受理証明書による離婚の報告的申告(韓国の戸籍への判例)を認めていたが、2004年9月20以降はその扱いを廃止する」との戸籍例規が出されたため、現在では在日韓国人夫婦が協議離婚をする場合にも韓国の家庭法院での確認をもらうことが必要となっています。つまり、これをもらわないと韓国法上は有効な離婚ではないことになります。ただし、日本では有効な離婚があるものとされますので、同じ離婚について韓国と日本でその効力に対する取扱いが異なってくることになりますので、注意して下さい。もっとも、協議離婚にこのような問題点があるため、在日韓国人夫婦の場合、より簡便な方法として、双方協議離婚をすることに異存がない場合、日本の家庭裁判所に調停離婚を申し立てるという方法もあります。

(2)次に、貴殿の場合のような、夫婦ともに韓国籍である場合の夫婦の離婚について、日韓のどちらの法律が適用されるかということを考えてみたいと思います。日韓両国ともに、このような場合にどちらの国の法律を適用するかに関して定めた法律(日本では「法適用通則法」と言い、韓国では「国際私法」と言います)がありますが、離婚に関する規定ぶりは日本も韓国もほとんど変わりありません。ちなみに婚姻の効力についても日韓両国とも同様の内容の規定ぶりになっています。まず、婚姻の効力については日本も韓国も次のような順序で準拠法を決めることにしています。

① 夫婦の本国法が同一である時は、その本国法。② 同一の本国法がない時は夫婦の常居所地法が同一である時はその常居所地法。③ ①②のいずれの法もない時は夫婦に最も密接な関係がある地の法(以上、日本法適用通則法25条、韓国国際私法37条)。貴殿らの場合には夫婦2人とも本国法が韓国法ですから、婚姻の効力については韓国法が適用されることになります。

次に、離婚についてですが、離婚については日韓両国とも婚姻の効力に関する規定を準用することとしています。また、両国法とも但書を設けており、日本の場合、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人である時は日本法によると規定し、韓国の場合、夫婦の一方が大韓民国に常居所を有する大韓民国国民である時には離婚は大韓民国法によると規定しています(日本法適用通則法27条、韓国国際私法39条)。したがって、あなた方夫婦の場合は、婚姻についても韓国法が適用されることになります。

このように、韓国法が適用される結果、先述したとおり、協議離婚についても韓国法が適用され「家庭法院の確認」という韓国法で規定されている離婚の要件が必要となってくるのです。

(3)次に、韓国法が適用される離婚の効力とはどの範囲のものを言うのかという点について述べますが、そもそも離婚というのは婚姻の解消ですから、婚姻の解消という効果について離婚の準拠法、すなわち本件の場合は韓国法が適用されることは当然です。

①次に離婚後の氏については、韓国の場合婚姻をしたからといって氏が変わることはありませんので、離婚についてもこの問題が生ずることはありません。

②離婚後の扶養③離婚の際の慰謝料④財産分与(韓国民法の場合は財産分割と言います)については、基本的に離婚の準拠法、すなわち本件の場合は韓国法によるものとされています。さらに、離婚後の親権・監護権についてはどうかというと、これについては離婚の準拠法ではなくて、親子関係の準拠法によるべきものとされています。

(記述 弁護士高初輔)

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