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日韓をめぐる家族法(婚姻・離婚・親子・親権・相続)法律相談6【現金の生前贈与について―韓国法相続親族6】

※注意事項 下記の法律相談を作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記法律相談を利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。
 
A:相談者・在日韓国人
X:弁護士
 
A:私の父は韓国国籍で、今年亡くなりました。相続人は、母と私と兄と姉の4人です。死亡当時の遺産は、土地建物(死亡当時評価額1億円)と預金が1000万円、現金が500万円ありました。兄は20年前に3000万円の生前贈与を受けています。この場合、兄が受けた生前贈与はどのように取り扱われるのでしょうか?
 
X:相続が発生した時の遺産分割の際にまず問題になるのは、相続人の範囲と遺産の範囲です。本件では相続人の範囲も遺産の範囲もはっきりしていて、特に問題はないようですね。
 ただ1つ、お兄さんが20年前に3000万円の贈与を受けたことをどのように取り扱ったら良いのかが問題になります。これを少し説明しましょう。
1.本件相続の法定相続分は、母1.5、兄1、姉1、本人が1となり、それぞれ分数で表わすと、母が9分の3、あなた方兄弟はそれぞれ9分の2となります。
2.遺産の評価の問題ですが、これはまず、相続開始当時存在した相続財産に特別受益となる生前贈与の額を加えて評価します。この場合、死亡当時存在した相続財産の価額は相続開始当時の時価を評価すれば良いのですが、20年前の3000万円の現金贈与はどのように評価することになるかというと、20年前当時の3000万円をそのまま3000万円として評価すべきか、あるいは20年前の3000万円を相続開始当時の金額に評価し直して評価すべきかという問題ですが、これについては、贈与当時と相続開始当時の消費者物価指数の比較に基づいて換算して、相続開始当時の金額に評価し直して算定すべきであると考えられています。日本の場合は最高裁の判例があります(最判 昭和51.3.18)。
 ただし、あなたの場合はお父さんが韓国国籍なので、韓国の法律が準拠法となって処理されることになりますが、韓国でもやはり現金の贈与については消費者物価指数に基づいて相続開始当時の金額に換算して算定すべきだと解されております(ソウル高等法院判決1991.1.18)。
 仮に20年前の3000万円が、消費者物価指数で計算し直すと相続開始当時は3500万円だとします。この場合の具体的な分配を検討してみると以下のようになります。なお、土地建物は一応1億円として評価します。
(1)各人の法定相続分
 母は9分の3、その他の相続人は各9分の2
(2)各人の具体的相続分を算定するための基準となる遺産の価額
 相続開始当時の実際の相続財産の価額に特別受益の分を加えた金額が各人の具体的相続分を算出するための遺産の価額になります。この場合、特別受益の額は特別受益財産の種類に応じて、もしそれが不動産であれば当該不動産の相続開始当時の時価がその価額として参入されますし、特別受益財産が現金であれば贈与当時と相続開始当時の消費者物価指数を比較して算出された金額(本件では3500万円)が算入されることになります。
 本件では、土地建物1億円、預金3000万円、現金1500万円の合計は1億4500万円。これに兄が受けた生前贈与額を3500万円として加算すると、合計1億8000万円になります。これに各人の法定相続分をかけて、特別受益者である兄については特別受益額3500万円を控除します。そうすると、各人の具体的相続分は次のようになります。
お母さんは、1億8000万円×9分の3=6000万円。
兄は、1億8000万円×9分の2-3500万円=500万円。
姉は、1億8000万円×9分の2=4000万円。
本人は、1億8000万円×9分の2=4000万円となります。
 
A:そうすると、相続人の中の誰かが現金の生前贈与を受けていた場合、その現金の価値を相続開始当時の価値に換算して計算することになるんですね?
 
X:そうです。
 
A:それでは、兄の受けた生前贈与3000万円の相続開始時点の換算額が3500万円ではなく5000万円であった場合、兄の取り分はマイナスになりますが、この場合はどのようになるんですか?
 
X:その問題については日本と韓国で処理が異なっていますので、次回にまた説明しましょう。
(2013.2.14 弁護士高初輔 記述)

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