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韓国会社・企業、外国企業のための日本法法律相談 【銀行金融機関取引法17】

※注意事項 下記のQAを作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記QAを利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。

A氏 外国銀行東京支店の職員

B弁 同社顧問弁護士

A氏 顧客が当支店に有している定期預金を担保に取るときの確定日付について質問します。この場合に、債務者本人名義の定期預金を担保に取るときは確定日付をとらず、債務者以外の第三者名義の定期預金を担保に取るときは確定日付をとるのが通例のようですが、それはなぜですか。

B弁 自行預金を担保に取る方法は、通常質権設定(債権質)の方式でなされます。債権質の当事者は、質権者、質権設定者、第三債務者の三者ですが、自行預金を銀行が担保に取る場合は、銀行が質権者と第三債務者の二者を兼ねることとなり、従って、質権設定者(債務者)が銀行に預金担保差入証を提出すること自体が質権設定の通知となりますから、これによって民法364条1項が準用している民法467条1項の債務者に対する対抗要件を満たしていることになります。但し、これによった場合、債務者以外の他の第三者が当該預金を差し押さえてきた時に、当支店は質権をもっては第三者に対抗できませんが(この差し押さえに質権をもって対抗するためには、確定日付をとっておく必要がある)、当支店には相殺という手段があり、この相殺をもって対抗することができるので、確定日付を取っておかなくても問題はありません(現在の日本の最高裁判例を前提とします)。

 次に、債務者以外の第三者名義の預金を担保に取る場合は、債務者と担保提供者は別人であるため、銀行は債務者に対する債権と第三者たる担保提供者に対する債務(預金)とを対当額で相殺することはできません。そこで、原則に立ち返り、質権設定自体について第三者に対する対抗要件(確定日付)を備えておく必要があります。

 以上が債務者本人名義預金を担保に取る時には確定日付を要せず、第三者名義預金を担保に取る時には確定日付を要する理由です。但し、担保提供者たる第三者から連帯保証をとった場合(担保差入人兼連帯保証人)は、銀行の第三者に対する連帯保証債権と第三者の預金とを相殺することができます。その場合は、債務者本人名義預金と同様に処理すればよいでしょう。

(記述 弁護士高初輔)

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