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弁護士による韓国法律情報 【韓国著作権法2】

※注意事項
下記の韓国法律情報を作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記韓国法律情報を利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。

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著作権に関する契約や著作権侵害等が問題になり、そこにさらに渉外的(国際的)要素が絡むときは、はたしてどの国の法律が適用されるのでしょう。今回はこの問題についての判例を紹介します。

この点について日本では「サルバドール・ダリ著作権譲渡事件」という判例があります。

上記事件では、スペイン法や日本法をめぐってどの法律が準拠法として適用されるか問題になりましたが、裁判所は、①著作権譲渡の原因関係である契約等の債権行為と②著作権の物件類似の支配関係の変動に関する法律関係などに分けて、①については契約の準拠法の問題として、当事者の意思にしたがってスペイン法を準拠法とし(当時の「法例」第7条1項)、②については著作権はその権利の内容及び効力がこれを保護する国の法令によって定められる等の理由により、著作権という物件類似の支配関係の変動については保護国の法令すなわち日本法が準拠法になると判断しました。

日本では、国際私法に関する法律が、「法例」から「法の適用に関する通則法」に変わりましたが、著作権に関する準拠法の規定をおくことは見送られ、現在著作権に関する準拠法の規定はありませんが、上記のような判例の考え方は、日本や韓国も加入しているベルヌ条約の考え方とも附合します。

ところで、韓国の裁判所はこの点どのように考えているのでしょうか。

韓国の裁判所も結論的には同じような考え方をしているものと思われます。韓国には「国際私法」という名の法律があり、その第24条(知的財産権の保護)で、「知的財産権の保護はその侵害地法による。」と規定されています。ここで言う「侵害地法」とは、その侵害が問題になりその保護が求められる国という意味で、保護国法とほぼ同じ意味だと理解されています。したがって、本条は保護国法主義をとったものと理解されており、さらに後記判例のとおり、保護国法を準拠法とする法律関係の範囲は、著作権の侵害と関連する法律関係以外の著作権の成立、譲渡、対抗要件等の全般的な法律関係にまで及ぼされています。

参考として、ソウル高等法院の判決の要旨を記載しておきます。なお、上記の論点に関連があるのは判決要旨(1)です

*ソウル高等法院2008.7.8宣告2007나80093判決

判決要旨

(1)著作権の成立、譲渡、対抗要件等と関連した著作権者の決定に関する問題を著作物の発生国である本国法による場合には、まず、本国法を定めること自体が容易でないばかりでなく、同じ領土内でも著作物の本国がどこかにより著作権侵害の有無の判断や著作権者の決定の結論が異なり著作物利用者や法院等がこれを判断、適用することが容易でない反面、著作権者の決定という問題は著作権の存否及び内容と密接に結び付いており、訴訟当事者が著作権の保護を求める国家である各保護国がこれを統一的に解釈、適用する必要があり、そのようにすることがベルヌ条約に加入した各同盟国が自国の領土内で通常法廷地と一致するものである保護国法を簡便に適用することでもって、内国民待遇による保護を付与することにも容易であるので、国際協約で明示的に本国法によるように規定していない以上、著作権者の決定や権利の成立、消滅、譲渡性等知的財産権に関する一切の問題に対しては保護国法により決定することが妥当であり、我が国国際私法第24条が知的財産権に関するすべての分野に関し保護国法主義を明示するかわりに知的財産権侵害の場合だけを規定する方式をとっていると言えども、これを広く解釈し知的財産権の成立、移転等の全般に関し保護国法主義の原則を採択したものと解釈しなければならないのである。

(2)我が国は旧著作権法(2006.12.28.法律第8101号により全部改正される前のもの)第52条第1号に“知的財産権の譲渡または処分制限に関する事項はこれを登録しなければ第三者に対抗することができない”と規定し著作権登録と関連して対抗要件主義を採択しているが、これは著作権者が契約相手方と著作権譲渡契約を締結する場合に別途著作権譲渡登録をしなくても、このような意思表示の合致により著作権移転という法律効果を直ちに発生させ、ただ著作権譲渡登録は契約相手方と両立しない地位にある第三者に対する関係において契約相手方と第三者のうち、いずれを権利者と見るべきかに関する対抗要件に該当するという法理である。

ところで、外国で発生した著作物の著作権者がその国で著作権の先順位譲渡をしたことを指して対抗要件主義の原則によりその著作権者が無権利者になったと前提にした上で、後順位譲受人が締結した著作権譲渡契約は無権利者から著作権を譲り受けた場合に該当し無効であるとみる場合には、結局、後順位譲受人は著作権譲渡登録を先に終えたか否かに関係なく、いつでも先順位譲受人に対抗することができないという結果を招来させ、このような結果は二重譲受人間では著作権登録を先に済ませたものを権利者として保護する我が著作権法の趣旨に明白に反するものであり許容することができないのであり、後順位国内登録名義人は適法な権利者として第三者に対して著作権侵害禁止請求権を行使することができる。

(3)著作権者が他人に著作権譲渡契約を締結し、その譲渡代金をすべて支給を受けたり、譲渡契約による条件が成就された場合には、著作権譲渡登録なしでもこのような意思表示の合致により著作権移転という法律効果が直ちに発生し、これにより著作権を喪失した登録名義人は自身に著作権登録名義だけ残っている状態を掲げて第三者に対して著作権侵害禁止請求権を行使することはできない。

そして、旧著作権法第52条第1号は“著作財産権の譲渡または処分制限に関する事項は、これを登録しなければ第三者に対抗することができない”と規定しているが、ここでの“第三者”とは、契約相手方と両立し得ない法律上の地位を取得する場合等、著作権の譲渡に関する登録の欠缺を主張することに正当な利益を有する第三者に限り、著作権を侵害したものはここでいう第三者に該当しないのであり、著作権を喪失した登録名義人が第三者に対して著作権侵害禁止請求権を行使することができるか否かに対し上記条項が適用される余地はない。

(記述、判例翻訳 弁護士高初輔)

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