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韓国会社・企業、外国企業のための日本法法律相談 【銀行金融機関取引法18】

※注意事項 下記のQAを作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記QAを利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。

A氏 外国銀行東京支店の職員

B弁 同社顧問弁護士

A氏 当行がT/Rローン(輸入担保荷物貸渡しローン)をする時に顧客から徴求する書類が3種類あります。それは①輸入荷為替付帯荷物取引保証依頼書②輸入担保荷物保管証(甲号)③貸渡依頼明細書です。

 これら3通の書類の意味を教えて下さい。

B弁  結論から言うと、①の荷物引取保証依頼書と②の輸入担保荷物保管証(甲号)はそれぞれ法律関係が異なりますので別途徴求する必要があります。

また、③の明細書は①及び②に記載されている事項と異なる事項が記載されていますから、やはり別途徴求する必要があります。

1.まず、①の荷物引取保証依頼書は、いわゆるL/Gです。L/Gとは、輸入荷物は到着しているけれども、輸入荷為替がまだ到着していない場合に、銀行が船会社に補償状を差し入れて、輸入者に対し担保となっている貨物の貸渡とその処分を認めるものです。

  L/Gは、あくまでも輸入荷為替が到着する前の処理であり、輸入荷為替が到着した時には銀行側においてはL/Gを甲号T/Rに切り替える処理をした上で、輸入者にB/Lを渡し、輸入者はこのB/Lを船会社に交付して銀行の補償状を取戻し、これを銀行に返還することとなります。

  このような処理が必要ですので、①の荷物引取保証依頼書を徴求してL/Gをした後に、輸入荷為替が到着した時には(一覧払い決済がされないのであれば)、甲号T/Rに切り替える処理をするという意味で②の輸入担保荷物保管証を徴求する必要があります。

  以上の考察によれば、上記①②の書類はそれぞれ異なった意味を有するものですから、どちらも徴求する必要があるということになります。

2.なお、純然たるT/Rローンをするときに、すなわち輸入荷物と輸入荷為替が両方とも到着している場合に、②の輸入担保荷物保管証(甲号)以外に①の荷物引取保証依頼書を徴求する必要があるか、というと、そのような必要はありません。輸入荷物も輸入荷為替も到着している場合には、単に②の甲号T/Rの書類(③の明細書もあわせて)を徴求すれば十分です。なぜなら、①の荷物引取保証依頼書(L/G)は、輸入荷為替が到着していないために、輸入者が船会社から荷物を引き取るためには銀行の補償状を船会社に提出する必要があり、その場合の法律関係を規定するものです。既に、輸入荷為替が到着している場合には、銀行がその輸入荷為替を輸入者に交付すれば輸入者は船会社から荷物を引き取ることができるのであって、銀行の補償状は何ら必要ありません。したがって、補償状の発行を前提とする規定は必要なく、その場合は①の荷物引取補償依頼書は必要がないという結論になります。

(記述 2013年11月6日 弁護士高初輔)

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