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韓国会社・企業、外国企業のための日本法法律相談9 【企業間商取引法1】

※注意事項 下記のQAを作成した時期により、既に法令や判例が改正・変更されていることもありますので、実際の事案に下記QAを利用する時には必ず当事務所にご相談ください。下記情報を利用した結果についていかなる責任も負うことは出来ませんので、その点ご了承のうえ利用して下さい。

A氏:日本企業と取引のある韓国企業日本現地法人の法務担当者
B弁:同社顧問弁護士

A氏 今日は韓国と日本の遅延損害金についてお尋ねしたいんですが、ちょっと前に韓国の遅延損害金の法定利率は日本より高いと聞いたことがあるんですけど、本当ですか?

B弁 本当ですよ。

A氏 どれくらい高いんですか?

B弁 韓国の場合、いわゆる一般的な遅延損害金は日本と同じで、民事の場合は年5%、商事の場合は年6%です。日本では、紛争が訴訟になって裁判上貸金や売買代金を請求する場合もまったく同じで年5%、年6%ですが、しかし、韓国の場合は訴訟になる前の期間については日本と同じく民事なら年5%、商事なら年6%ですが、これが訴訟になると利率が変わってきます。訴訟になって訴状が被告に送達された日の翌日からの遅延損害金の割合は年2割と定められています。したがって、訴状が送達される日までの利率は年5%または年6%ですが、その翌日からは年20%と高い利率の損害金を請求することができるようになっているんですよ。

A氏 そうですか。よく分かりました。年2割というと相当高額ですが、なぜそのように高額にしているんですか?

B弁 訴訟促進のために訴訟提起後の遅延損害金の割合を高く設定しているんです。韓国では「訴訟促進等に関する特例法」という法律があって、この法律で金銭債務の遅延損害金の法定利率を訴状送達日の翌日からは年40%の範囲内で大統領令で定めるものとしています。現在の大統領令ではその割合が年2割と定められています。

A氏 そうなんですか。大変よく分かりました。でも、それは韓国で裁判をするときにだけ適用されるんですよね?そうすると日本ではあまり意味がありませんね。

B弁 そうでもありませんよ。日本の裁判所で裁判をする場合も、韓国の法律が準拠法となるケースでは韓国法が適用されることになりますので、訴訟促進等に関する特例法も同様に適用されることになると思います。したがって、この点でも日本法が準拠法となるか、韓国法が準拠法となるかという問題は、遅延損害金の問題については相当大きな違いを生ずる可能性があります。

A氏 そうすると、日本法と韓国法のどちらの法律を準拠法とするかによって、結論に大きな差が生ずる場合もあることに注意して準拠法の選択をしなければいけませんね。大変よく分かりました。

(2013.1.21 記述 弁護士髙初輔)

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